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トンガの大噴火、過去の大地震・津波

記憶

トンガの海底火山大噴火による津波は日本において大きな人的被害を出さずに済んだようだ。一方で、漁船が沈没したり、ブリの稚魚が大量死したそうなので被害に遭われた方々の心中は察するに余りある。

当日、今住んでいる所でも津波注意報が発令され、数時間は心配な状況が続いた。スマホにも自治体から数回警告が通知されたが、彼らの狙い通り私の心拍数はかなり上がる夜となった。

 

結局その日は何とか眠りについたのだが、後日が阪神淡路大震災が起きた日だったこと、またそれを題材にした小説をたまたま読んだこともあり数日間は地震津波が心配な状況になっていた。そして今日、いざという時の避難場所を調べたりしている内に、気付けば南海トラフが起きた場合についての動画をYoutubeで視聴していた。最近Youtubeはあまり見ていないのだが、一つの動画を視聴すると関連動画が提示されるため一度見出すと結構な間見続けてしまうことが多い。今日もそのパターンだった。

 

いくつか南海トラフの想定動画や特集番組を視聴して、3.11の時を思い出し当時のニュースや映像も流していた。私は当時大学生で、住んでいた場所は震度5強ながら津波の被害などはなく近所で電柱が倒壊したくらいだった。しかし、動画を見ているとやはり当時の恐怖や緊張感が思い出され、11年前とは思えないほど生々しい感覚があった。

そう思うと、自分が被災しているかに関わらず、当時はとにかく緊張感のある非常事態であり、また目にしていたニュースもショッキングな内容だったので心と記憶に深く刻み込まれていたようだ。自分ですらそうなのだから、日常的には思い出さなくてもきっと多くの人にとってもある種のトラウマとなっていることだろう。近年、これほど多くの人が同時にトラウマになり得る事を体験した例は少ないのではないだろうか。

今も進行中のCovid-19についても数年後には同じように語られるかも知れないが、他に国内で思いつく大事件というと地下鉄サリン事件などだろうか。恐らく、電車や地下鉄が怖くなった方もいた事と思う。他にも凄惨な事件や事故は多くあったが、全国民レベルで。となると数十年単位で考えてもあまり思いつかない。

 

さらに遡り、少し飛躍すると、やはり一番多くの人が体験したトラウマというのは太平洋戦争の敗戦になるのではないだろうか。個人においても多くの方が亡くなり、またその家族の人生も大きく変わったという意味だと4年だけの出来事ではなく脈々と今日まで影響が続いているように感じる。

 

以前、カウンセラーの先生と話していて言われた。「日本はアダルトチルドレン大国ですよ」たしかに、当時戦争などで安心した生活などどこにもなかった状況を考えるときっと多くのアダルトチルドレンが発生していたであろうことは想像に難くない。当時こどもだった世代だから、今だと80歳〜90歳くらいだろうか。そして、私の祖父母も見事にここに合致していた。生い立ちなども聞いたが、「ああなるほど」という内容であった。祖父は亡くなっているがアルコール依存症だったし、祖母は今で言うコントロール型の毒親タイプ(彼女もまた情緒的な愛情を受けずに育った)である。2人は共依存関係だった。

 

そして、私の父親も感情に薄くアダルトチルドレン傾向というのもあり、アルコール依存症となりうつ病も発症した(後に双極性障害Ⅱ型と診断)。アダルトチルドレンや依存症を子どもが引き継いでしまうケースが多いと考えると、このような事例は日本全国枚挙に暇がないと思う。そう考えると社会がより不安定になっているというのもあるが、敗戦時に少年少女だった子どもたちの孫にあたる20代〜30代はアダルトチルドレン大発生世代ということになりそうだ。

 

戦争というのは多くの命が失われるだけでなく、その国に住む人々、またその下の世代にも大きな傷跡を残すものだと思う。日本はたまたま共産圏との防波堤という役割もあり、経済復興によって一時的に自信を取り戻したように感じるが私たちの心の奥底にあるコンプレックスや静かな怒り、悲しみというのは消えていないように感じる。